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 浜松城現地説明会
1.概要
平成22年5月30日に開催された現地説明会に行ってきました。配布された資料と、私（管理者）が撮影した写真でご紹介したいと思います。
浜松城は三方原台地の東縁にあたる段丘上を利用した平山城で、中世には引馬城と呼ばれていたそうです。中世の引間城の位置は「古城」と伝えられ、現在は浜松城の北東側にある東照宮にその名残を留めています。
元亀元年（1570）、徳川家康は弱体化した今川領地内に進み、この地に前線基地を築きました。徳川家康が在城した17年間によって、現在の浜松城の位置にまで軍事施設が拡張されたとみられています。天正18年（1590）、豊臣秀吉が天下統一を成し遂げると、徳川家康は関東に移り、代わりに豊臣氏に近い大名である堀尾吉晴が浜松を治めました。なお、現在みられる天守閣は昭和33年（1958）に再建されたものだそうです。
今回平成22年の調査では、天守閣近くの天守門と、富士見櫓が調査され、一般公開されました。21年の出土品もあわせて展示され、多くの見学者が訪れていました。
2.調査内容
天守門は石垣の上部から礎石や瓦が検出できたことから、二階建て構造の櫓門（やぐらもん）であることが確定できたそうです。二階部分の櫓の大きさは、検出した礎石と出土した瓦の位置関係から想定して、幅12ｍ程度の規模であると考えられるとの事です。櫓の両脇からは塀に使用する塀瓦が集中的に出土しており、天守門に連接して土塀がめぐっていたことも併せて確認できたとの事です。櫓門に葺かれた瓦の特徴から、天守門は安土桃山時代（16世紀末）に建てられ、その後も江戸時代を通じて改修が繰り返されたと推定できたそうです。
平山城で城自体も平地の高い位置にありますから、見晴らしが良かったことでしょう（写真左）。
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| 天守門の調査区より虎口をのぞむ。右が天守閣 |
富士見櫓で傾斜してます。左は近くのホテルです |
一方、今回あわせて調査された、富士見櫓では、京間（6尺5寸＝197cm）を用いる建物の礎石が検出されました。礎石が確認できたのは北側の３石分で、礎石間には地覆石（じふくいし）がみられる通常の櫓は土蔵造りであるが、検出した建物基礎の特徴から、富士見櫓は邸宅風の建物であったと推定できるとの事です。また、建物北側の平坦面には、玉砂利が敷かれていたことも明らかになりました。出土遺物には、家紋瓦（桔梗紋：17世紀、高力氏もしくは太田氏）、天目茶碗などがあるそうです。富士見櫓は城郭建築の中では異質で、風雅な建物であったとみられ、この建物を使って、会合や茶の湯などが催されたと考えられるそうです。
大名にとり茶の湯はたしなみであっただけでなく、社交の方法でもありました。人間模様が浜松城であったかもしれませんね（富士見櫓、写真 右）。
天守閣に初めて登り、遠い昔に思いを馳せました。
詳しく知りたい方は浜松市ホームページこちら をご覧下さい。
文化財課が実施の昨年度の調査について報告書が先日刊行され、公的機関でご覧頂けるそうです。
なお浜松市博物館に掲載許可を頂きました。
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