三河の考古学

豊田･編
豊田大塚（とよたおおつか)古墳
年代：古墳時代後期（６世紀中葉）
所在地：　豊田市河合町１丁目

豊田大塚（とよたおおつか)古墳 豊田大塚古墳副葬品出土状況

　 概　要
　 1963年に久永春男氏を主任調査員として、市教育委員会が発掘調査を行った。装飾須恵器をはじめとする豊富な出土遺物は重要文化財、古墳は県指定文化財に指定されている。
古墳は直径30ｍ、高さ3.5ｍ（２段築成）の円墳で、墳丘からは少量の円筒埴輪や須恵器高杯などが出土した。

豊田大塚（とよたおおつか)古墳 豊田大塚古墳装飾須恵器

横穴式石室は墳丘１段目の上面に構築されており、平面撥形で全長8.7ｍ。 時期的に先行する岡崎市外山３号墳との共通性（平面撥形・北西方向への開口・奥壁が墳丘中心に位置・赤色塗彩）を考えれば、竪穴系横口式石室の系譜を引く石室として理解することができる。 内部からは、青銅鏡１面、玉類300点以上、耳環５点、直刀６点、刀子４点、鉄鏃60点以上、ころく金具、馬具２組、土製紡錘車１点、須恵器41点以上、土師器11点、多孔丸頭筒状土製品１点などが出土した。 調査時の所見では明らかに追葬が認められるが、出土須恵器は概ね東山61号窯式に該当し、６世紀中葉の築造と考えられる。土器以外の遺物も、当該期の基準資料に位置づけられることが多く、矢作川流域の古墳時代史を語るうえでは欠くことのできない古墳となっている。

閑話休題
　私が就職した頃、豊田の考古遺物で全国版の図書に写真が掲載されるのは、決まって豊田大塚の装飾須恵器だった。その中の１点が、文化庁主催事業でニューヨークへ旅立つとき、何気なく保険の評価額を見ると2,000万円と記されており（高いのか安いのか判りませんが）、小市民としては大いに驚いたものだ。今では重要文化財となり気安く触ることができなくなってしまいましたが、常設展にも出ていますので是非ご覧ください。
(Y.M)