三河の考古学

一宮町･編
炭焼平（すみやきびら）古墳群
年代：古墳時代後期（６世紀〜７世紀）
所在地：宝飯郡一宮町大字東上字炭焼平・柿木平

炭焼平古墳群 [４月９日撮影：晴れ]

概要
　炭焼平古墳群における最初の発掘調査は開拓事業に伴うもので、 15基を対象として1952年に行われた（第１次調査）。
続いて1957年にも３基が開墾に先立って発掘調査され（第２次調査）、早い時期 に群内約半数の古墳が調査されている。
1983年の第３次調査は、古墳の新規発見に伴うもの、 1992年の第４次調査は県の史跡指定域内 での確認調査として行われた。
上記の４次にわたる調査の結果、対象となった古墳は25基におよび、 うち21基で主体部が横穴式石室であることが確認されている。
総数40基以上からなる本古墳群では、すべて の古墳で横穴式石室が主体部とされた可能性が高い。また墳丘を巡る 列石が確認された古墳もあり、唯一の前方後円墳で群の盟主墳と思わ れる４号墳では、前方後円形に巡る列石が検出されている。
出土遺物は主体部内外からの多量の須恵器が中心となり、14号墳石室内からの 装飾付須恵器は特に秀逸である。
土器類以外では21号墳の金銅装刀装具が注目され、獅噛環頭１点が出土している。
本古墳群の年代は、須恵器や石室構造から、６世紀後葉から７世紀後葉と考えられるが、 群の規模や出土遺物の内容からは、愛知県を代表する後期群集墳の一 例といえよう。

閑話休題
　炭焼平古墳群を東西に貫く県道豊川新城線から山手へすぐの所に、 立ち寄り温泉「本宮の湯」があります。一宮町が３セクで2002年から 営業を始めたものです。詳しくはＨＰで(URL:http://www.honguu-no-yu.com。) また、同じ県道沿線で新城市との境界となる境川には、『参河国名所図絵』 にある「牛の滝」がすぐ近くです。温泉・滝ともに県道に案内があります。 時間に余裕のある方は、ウォーキングセンターから本宮山登山もどうぞ。
( 須川勝以)