三河の考古学

一宮町･編
旗頭山尾根（はたがしらやまおね）古墳群
年代：古墳時代後期（６世紀〜７世紀）
所在地：新城市八名井字段林・宝飯郡一宮町大字金沢字藤弦

旗頭山尾根古墳群

　 概要
　旗頭山尾根古墳群は、1952年頃、明治大学の後藤守一氏により数基が 発掘調査されたというが、この調査の内容は詳しく分からない。 その後71年には分布調査が、76年に群の測量調査が行われた。 また77年には３基が市・町教委により発掘調査されている。
現在、総数40基からなる群は１〜24号墳までが県指定史跡として保存されているが、 その他の16基は３基を残して滅失した。
本古墳群の最大の特徴は、愛知県内でも東三河の一部のみで確認されている 積石塚古墳を含む、という点であるが、詳細が判明するのは、77年調査の３基のみである。 ただ、現存する古墳の観察状況も加味すれば、 19号墳の双円墳を除くすべてが小規模な円墳で、 主体部には竪穴系と横穴式系の２種があることは認めてよい。 また調査の範囲内では、墳丘を純粋に石材のみで構築するものは確認されていない。 出土遺物は多くはないが、大刀・鉄鏃・刀子・玉類・須恵器・土師器が知られている。
　東三河の積石塚古墳は、その初源が後期群集墳に先行するものとして 年代的にも注目される存在であるが、群規模に大小の別が顕著な点など 相違点もある。本古墳群は大規模群の代表例として理解されるべきもの であろう。

閑話休題
本古墳群のうち77年に発掘調査された26号墳は、調査後新城市青年の 家に移築復元されて公開されており、いつでもみることができます。
またその時の調査での出土遺物は、新城市と一宮町の資料館に保管されて います。
古墳群へは、一宮町側から入り、町営墓園駐車場から徒歩にて 登ることができます。尾根上からは三河湾をのぞむことができます。
(須川勝以)