 三河の考古学
豊橋･編
三ツ山（みつやま）古墳
年代：古墳時代後期（６世紀前葉）
所在地：豊橋市牟呂町字坂津（三ツ山公園内）
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三ツ山古墳円筒埴輪
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概 要
調査歴 昭和４３年～６２年までに４回の測量調査が、また平成１０～１２年度に豊橋市教育委員会によって墳丘の確認調査が行われている。
遺 構 本墳は全長３８ｍの前方後円墳で、前方部幅が後円部径を凌駕した、前方部が発達した形状である。墳丘には葺石は見られず、また２段築成であることが確認調査で明らかになった。墳丘の下段テラス面には埴輪列があり、さらに墳丘の周囲には前方後円形に浅い周溝がめぐる。主体部は後円部と前方部とでそれぞれ１基づつ確認された。前方部は無袖式の横穴式石室で、石材の目地が縦横ともにそろう特異な積み方が見受けられる。
遺 物 円筒埴輪は３突帯４段構成で、「三河型」とも呼ばれる、外面調整がタテ板ナデあるいはタテハケのものである。このほか人物（弾琴像、武人など）埴輪や盾形埴輪など形象埴輪が出土した。前方部の横穴式石室からは、須恵器の提瓶、脚付有蓋壺のほか、轡、大刀、１００点を超える鉄鏃群など鉄製品が豊富に出土している。
評 価 本墳は、古墳時代後期に渥美湾沿岸部に展開した首長墳系譜の最初の古墳であり、中央の政変と連動するかたちで顕在化した、海浜部の新興勢力の墓と考えられる。また、豊橋市域では数少ない埴輪をもった古墳である。
文 献 豊橋市教育委員会１９９９～２００１『三ツ山古墳調査概要（Ⅰ）～（Ⅲ）』
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前方部の横穴式石室
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閑話休題
かつては海を望む地にあった本墳周辺も、干拓によって海辺の雰囲気は失われてしまった。本墳の西に展開する豊橋港は日本最大の自動車輸出入基地で、フォルクスワーゲンやアウディなどドイツ車がずらりと並ぶさまは、まさにマニア垂涎の光景だろう。さらに本墳の南約１㎞、「牟呂町」交差点近くにある「とんかつの永楽」は、有無を言わせぬ爆発的なボリュームと値段の安さで知られる穴場中の穴場店だ。
（岩原 剛）
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